実銃のお話です。
射距離25mで撃つ「縮射」というのがあります。
新隊員や予備自衛官補が入隊後、初めて行う実弾射撃もこの距離です。
後に300m(いわゆる実距離)へと移行していきますが、的の見え具合はどちらも同じになるように比率が調整されています。
一般的な軍用小銃の場合、射距離に応じて照門(リアサイト)の上下転輪(エレベーション)を回して弾着の上下を調整します。※ 微調整は照星(フロントサイト)を使います。
89式小銃の場合も照門部の上下転輪に「1」「2」「3」…と打刻があり、それぞれ100m、200m、300mの射距離に応じるようになっています。
このように照準点と弾着が一致するように照準具を調整することを「零点規正(ゼロてんきせい)」といいます。英語では「ゼロイン」といいます。
では、25m射撃の時は、照門(上下転輪)の目盛りをどこに合わせたらいいのでしょうか?
100mより近距離に対応する目盛りがありませんので、最寄りの100mの「1」でしょうか?
いいえ、違います!
答えは、300mの「3」です。
「えっ、なんで?!」と思った人は、下の図を見て下さい。
小銃から発射された弾丸は、放物線を描いて飛んでいきます。この通り道が「弾道」です。
照門〜照星を見通したラインが「照準線」です。
※ 注)イラストでは、ポイントを解りやすく図解するため、照準線と照門が離れていますが、本来は同一線上に接しています。
弾丸が最初に照準線と交差するのが25m、次に照準線と交差するのが300mであることがお解りいただけると思います。
したがって、25mの縮射においても照門は「3」で良いのです。
ニアゼロとファーゼロ
下図は、米国陸軍の制式小銃M16A1のゼロインです。
30m的のニア(近)ゼロと300mのファー(遠)ゼロが同様であることを示しています。
なぜ至近距離では下にあたるの?
ちなみに25m以内の至近距離における射撃では、狙ったところ(照準点)よりも弾着が下にずれる理由も理解できるでしょう。
下の図は「照準視差」を示したものです。「サイトパララックス」ともいいます。
ダットサイトやスコープなどをハイマウントにすればするほどこの傾向は顕著になります。同様に銃を左右に傾けた時の弾着への影響も大きくなります。
知っているようで知らない方が多かったので整理してみました。
自衛隊の更なる精強化のお役に立てば幸いです。
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